月経前緊張症[PMS]/月経前不快気分障害[PMDD]
疾病分類上はうつ病の1種と考えられおり、症状はうつ病のものにとても似ています。症状のオン/オフの時期が月経周期の中ではっきりと分かれる場合や、普段から気分変調があり月経前に特に症状が強まる場合、といったように個人差はあります。
- 突然悲しい気持ちになる、涙もろくなる
- 拒絶や批判に対して敏感になる。
- イライラする、怒りっぽくなる。
- 気分が落ち込む。
- 意欲、集中力の低下。
- 疲労感、倦怠感
- 過食、偏食
- 過眠、不眠
はっきりした原因は未だ不明ですが、月経におけるホルモンバランスの変化や、神経伝達物質のセロトニンが関与しているのではないか、と言われています。
こういった現象は、疾患として認められるずっと以前から知られていました。そのため今でも単なる「ヒステリー」や「わがまま」と捉えられることもあります。そして困っているその人自身が自責的になりやすい心理状態にあるため、受診を躊躇することが多いようです。
しかしPMS/PMDDはお薬が効くことが多い疾患です。具体的には抗うつ薬のSSRIなどを用いてセロトニンの調整を行うと、かなりはっきりした形で症状が落ち着きます。明確に症状が良くなったことを周囲の人が認識し安心できると、症状から影響を受けていた対人関係も改善していくことが期待できます。
また場合によっては漢方薬がよく効くこともあります。
忘れてはならないのが精神療法によるアプローチです。相談しにくいこういった事柄を、きちんと相談ができる相手がいる、というだけでも大きな安心につながりますし、病気の影響が少なくなっていくにつれて、自分自身の行動の仕方や考え方のクセを認識できるようになり、単にPMS/PMDDが改善した、というにとどまらない変化をみせる方もおられます。
薬物療法と精神療法を組み合わせて治療を行い、症状の改善後も再発予防のために治療を継続して、半年から1年が経過したのちに徐々に薬物を減薬し、治療終結となります。また治療中に気付いた自らの心のクセや傾向について検討していくために、薬物療法終了後にも通院継続を希望する方もおられます。