アスピーの発見基準
(自閉症スペクトラム症の疾患と解説)
アスピーの発見基準とは、アスペルガー症候群(=今日的な診断では自閉症スペクトラム症に含まれる)の欧米での愛称であるAspie(日本語での「アスペ」という言葉に含まれる、差別的な意味合いがない愛称のようです)の特性を肯定的に捉え直したものです。欧米の社会では一般的に日本よりは発達症の方が困ってしまいにくい、と言う説があるようですが、このような特性に対する理解もそこから生まれてきたものかもしれません。ここに書かれていることが日本の社会でそのまま当てはめることができるか、という点については議論があるでしょうが、自閉症スペクトラム症やその他の発達障害でお困りの方にとっては、勇気づけられる内容だと思いますので、ここに掲載しておきます。
AttwoodとGrayによるAspieの発見基準
🅰ほぼ以下の形をとる対人的な交流における質的な強み
- 絶対の忠実性と完璧な信頼性を特徴とする友人関係
- 性差別的、年齢差別的、文化差別的な偏見がない/「額面価値」で他者を評価できる
- 人間関係に左右されず、あるいは個人的な信念に忠実に、自分の考えを述べる
- 相矛盾するエビデンスがあっても自説を追求することができる
- 次のような聞き手や友人を探し求める。
ユニークな興味関心事や話題に熱中できる人
微に入り細を穿った考察ができる人
たいした利益はもたらさないかもしれないような話題を話しあうことに時間を費やすことができる人 - 常に意見や思い込みを挟むことなく話が聞ける
- 主要な関心は、会話に意味ある貢献をすることにある
社交儀礼的雑談や瑣末な世間話や中身のない浅薄な会話は避けたがる - 控えめなユーモアのセンスがあり、誠実で、ポジティブな、真の友人を求める
🅱以下のうち少なくとも3つによって特徴付けられる社会的言語であるアスペルガー言葉を流暢に話す
- 真理を探究しようとする決意
- 暗黙の了解事項のない会話
- ハイレベルの語彙と言葉への興味
- 駄洒落のような、語に基づくユーモアを愛好
- たとえの絵による表現が高度
🅲以下の少なくとも4つによって特徴付けられる認知スキル
- 全体より細部をとても好む
- 問題解決の際に独創的で、しばしばユニークな考え方をする
- 並はずれて優れた記憶力や、しばしば他人は忘れたり無視することを詳細に想起する力。
(例えば、名前、日付、予定、ルーチンなど) - 興味のテーマに関する情報を集めたりカタログ化することに熱中する
- 粘り強く考える
- 1つあるいはいくつかのテーマに関して、百科事典的あるいは「CD-ROM」的に博識である
- ルーチンを理解し、秩序と正確さの維持を重点的に望む
- 価値判断・意志決定が明晰で、政治的な、または金銭的な条件ではゆるがない
🅳付加的特徴としてあり得るもの
- 特定の感覚経験や感覚刺激に対する鋭い感性:たとえば、聴覚や触覚、視覚、嗅覚に関して
- 1人でするスポーツやゲームが得意。特に次の項目が関係するもの
- 持久力や視覚的正確さ。たとえば、ボート漕ぎ、水泳、ボウリング、チェスなど
- 人を疑わない楽天主義者で、「集団の中では縁の下の力持ち」だが、対人関係が下手なためによく被害者になる
- 一方では、真の友情の可能性を固く信じている
- 高校卒業後、大学に進学する可能性が一般人口のそれよりも高い
- 障害が明瞭な人に対してはとてもよく世話をすることがよくある